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CHIBAでの楽しみは渓谷リゾートの温泉と築120年の古民家でいただく細打ちの十割。新蕎麦あります。房総半島の南部を切り取るように、東京湾側の五井と太平洋側の大原を結ぶかわいらしい鉄道。前者始発が小湊鐵道、後者始発がいすみ鉄道で二つの路線は上総中野駅で接続されています。その上総中野駅のひとつ五井よりが養老渓谷駅。ここが、千葉県が誇る渓谷リゾート養老温泉への下車駅です。温泉は塩化物泉で源泉の色は褐色。黒湯と呼ばれていて、薄いコーヒーの中にいるような気分になります。温泉宿は養老側沿いに十数軒ありますが、今回はその中でもひとつだけ離れた場所にある温泉宿に温泉だけ入らせてもらいに行きます。このユニークな温泉宿に行くには、細いトンネルをくぐっていきますが、その自然に出来たようなトンネルの高さ、狭さ、暗さはまさに深山のリゾートを訪問するにふさわしい幕開けを期待させてくれます。養老渓谷駅から少し走ったところに、蕎麦好きの間ではつとに有名な古民家手打ち蕎麦のゆいがあり、夏新蕎麦を楽しんできました。お店は大きな古民家で、移築してきたのではなく、もともとその場所にあったものを改造してお店として使われているとか。坂をどんどん登り、やがて店の看板にしたがってアプローチの短い坂を登ると、店の庭に出てきます。そのとき初めて店の全貌を見ることになります。以前からずっと来たいと思って雑誌やweb上の写真でその格好は知っていましたが、こうやって実物を目に前にすると、その大きいことが実生活の場所として急にリアリティを持って迫ってきます。入り口で靴を脱ぎ、店の中、と言うか、家の中におじゃまします。奥様が出迎えてくれました。部屋を仕切る戸がはずされているために、広く感じます。ゆったりとした空間。年月を経た家独特の落ち着いた居心地の良さ。厨房に近い奥の部屋のテーブル席に腰掛けました。今回は車を使い、行程120kmの半分が高速道路だったために2時間半でここまで来れました。テーブルの上に飾られている花や、部屋の雰囲気を明るくしている植物はこの地で育った野の草花。選んで飾るセンスと素朴な野草の可憐さ。都会のどんな高級レストランが逆立ちしても勝てないものが、ここにはあります。お金じゃ買えない貴重なものが。メニューに食べたかったそば膳を見つけました。限定ですが、あるとのことでこれに決め。同行のBさんは、2種せいろと蕎麦粉のくずもち風。この日は、長野県松本産夏新そば福島県会津在来種が提供されてました。2種類の蕎麦を打つことでも知られているお店です。そば膳も+200円で2種類になりますが、Bさんから少しもらえばいいので。蕎麦を待つ間奥様と少し話ができました。聞いている休日の大混雑とは違って、この日はゆったりとした時間がお店の中を流れています。蕎麦屋さんは、やはり食べるものの提供と同時にお店の雰囲気作りにいろいろ工夫しているお店が多いです。古民家の蕎麦屋も少なくないし、庄屋、農家、などいろいろ非日常的な空間を楽しませてくれます。調度品も多くの骨董品が使われて落ち着いた場所にする工夫があります。このゆいで思ったのは、蕎麦屋だから古民家にする、ではなく、古民家が好きだからそういう場所を選ぶ、といったお店の方の強い嗜好を感じました。ですから造詣も深いですし、センスがいい。これはビジネスのための古民家ではなく、自分達が好きな空間であるんじゃないかな、とそう感じました。まったく当たっていないかもしれませんが。さて、2つのお盆が連続して運ばれてきました。二種せいろ。2つの丸笊の盛られた十割手打ち蕎麦。この透明感はなんだろう。きれいな蕎麦が盛られてます。打ち方も少し変えていて、少しだけ太さが違ってました。色合いもやや濃い色とやや薄い色。そば膳は、蕎麦1種に生ゆば刺身、鳳凰卵の温泉玉子、野山の天麩羅3種。夏新からいただきました。やはり、新蕎麦の響きは何かわくわくさせられます。夏新はことし3枚目。ありがたいことです。箸で手繰るとその蕎麦のかろやかさにうれしさがこみあげます。こういう蕎麦が好き。この蕎麦の長さも好みです。ききりと角を立て、しっとりとした潤いが見えます。口に含むといい蕎麦の匂いがおとなしくふんわりと鼻に抜けていきました。うまい蕎麦です。十割でありながらのこの食感とこの喉越し。打ち手の技。新蕎麦はやはり心がうきうきします。つゆにさっとつけ、一気に吸い込み。出汁が利いた濃いつゆが蕎麦を追って飛び込んできます。愉快な瞬間です。蕎麦は生き返り命を吹き込まれ、極上の蕎麦に変りました。会津在来種。打ち方を変えて太さが0.2mmくらい違えてます。同じく丁度いい長さ。こちらも蕎麦の穀物の匂いが優しく、2種の蕎麦のその微妙な違いはmm単位の些少なもので、新蕎麦はすがすがしく、在来種はさすが甘みが増して、なんて分かったような分析はできません。でも違うんです。やっぱり違う。どう説明していいのかその力量がなくて申し訳ありませんが。こっちも軽やかなタッチと小気味のいい食感は極上のものです。ここまで来た甲斐があったと思います。生ゆばのさしみ。清冽で食べるのがもったいない。日本酒と合わせればもったいなくない。温泉玉子。濃厚で食べるのがもったいない。ビールと合わせればもったいなくない。野山の天麩羅3種。甘長唐辛子。きのこ。かぼちゃ。もうひとつは、なんだろう。紫色で丸い。蕎麦は十分満足でした。濃厚な蕎麦湯をいただき、満足の2階建て。蕎麦前もたのしそうなお店。この後は温泉が待ってます。奥様に話しました。きょうの天麩羅は、とうもろこしが出てくると思いました。ああ、見てくださっているのですね。言っていただければお出しできましたのに。また今度の楽しみにしておきますから、気にしないでください。その後、厨房で忙しく調理中のご主人に声を掛けてお礼を申し上げました。このようなおいしいお蕎麦と温泉の組み合わせ。千葉県民でよかった。千葉県民でないあなたも是非おいでください。
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房総半島の南部を切り取るように、東京湾側の五井と太平洋側の大原を結ぶかわいらしい鉄道。前者始発が小湊鐵道、後者始発がいすみ鉄道で二つの路線は上総中野駅で接続されています。その上総中野駅のひとつ五井よりが養老渓谷駅。ここが、千葉県が誇る渓谷リゾート養老温泉への下車駅です。
温泉は塩化物泉で源泉の色は褐色。黒湯と呼ばれていて、薄いコーヒーの中にいるような気分になります。温泉宿は養老側沿いに十数軒ありますが、今回はその中でもひとつだけ離れた場所にある温泉宿に温泉だけ入らせてもらいに行きます。このユニークな温泉宿に行くには、細いトンネルをくぐっていきますが、その自然に出来たようなトンネルの高さ、狭さ、暗さはまさに深山のリゾートを訪問するにふさわしい幕開けを期待させてくれます。
養老渓谷駅から少し走ったところに、蕎麦好きの間ではつとに有名な古民家手打ち蕎麦のゆいがあり、夏新蕎麦を楽しんできました。
お店は大きな古民家で、移築してきたのではなく、もともとその場所にあったものを改造してお店として使われているとか。坂をどんどん登り、やがて店の看板にしたがってアプローチの短い坂を登ると、店の庭に出てきます。そのとき初めて店の全貌を見ることになります。以前からずっと来たいと思って雑誌やweb上の写真でその格好は知っていましたが、こうやって実物を目に前にすると、その大きいことが実生活の場所として急にリアリティを持って迫ってきます。
入り口で靴を脱ぎ、店の中、と言うか、家の中におじゃまします。奥様が出迎えてくれました。部屋を仕切る戸がはずされているために、広く感じます。ゆったりとした空間。年月を経た家独特の落ち着いた居心地の良さ。厨房に近い奥の部屋のテーブル席に腰掛けました。
今回は車を使い、行程120kmの半分が高速道路だったために2時間半でここまで来れました。テーブルの上に飾られている花や、部屋の雰囲気を明るくしている植物はこの地で育った野の草花。選んで飾るセンスと素朴な野草の可憐さ。都会のどんな高級レストランが逆立ちしても勝てないものが、ここにはあります。お金じゃ買えない貴重なものが。
メニューに食べたかったそば膳を見つけました。限定ですが、あるとのことでこれに決め。同行のBさんは、2種せいろと蕎麦粉のくずもち風。この日は、
長野県松本産夏新そば
福島県会津在来種
が提供されてました。2種類の蕎麦を打つことでも知られているお店です。そば膳も+200円で2種類になりますが、Bさんから少しもらえばいいので。
蕎麦を待つ間奥様と少し話ができました。聞いている休日の大混雑とは違って、この日はゆったりとした時間がお店の中を流れています。蕎麦屋さんは、やはり食べるものの提供と同時にお店の雰囲気作りにいろいろ工夫しているお店が多いです。古民家の蕎麦屋も少なくないし、庄屋、農家、などいろいろ非日常的な空間を楽しませてくれます。調度品も多くの骨董品が使われて落ち着いた場所にする工夫があります。
このゆいで思ったのは、蕎麦屋だから古民家にする、ではなく、古民家が好きだからそういう場所を選ぶ、といったお店の方の強い嗜好を感じました。ですから造詣も深いですし、センスがいい。これはビジネスのための古民家ではなく、自分達が好きな空間であるんじゃないかな、とそう感じました。まったく当たっていないかもしれませんが。
さて、2つのお盆が連続して運ばれてきました。
二種せいろ。2つの丸笊の盛られた十割手打ち蕎麦。この透明感はなんだろう。きれいな蕎麦が盛られてます。打ち方も少し変えていて、少しだけ太さが違ってました。色合いもやや濃い色とやや薄い色。そば膳は、蕎麦1種に生ゆば刺身、鳳凰卵の温泉玉子、野山の天麩羅3種。
夏新からいただきました。やはり、新蕎麦の響きは何かわくわくさせられます。夏新はことし3枚目。ありがたいことです。箸で手繰るとその蕎麦のかろやかさにうれしさがこみあげます。こういう蕎麦が好き。この蕎麦の長さも好みです。ききりと角を立て、しっとりとした潤いが見えます。口に含むといい蕎麦の匂いがおとなしくふんわりと鼻に抜けていきました。うまい蕎麦です。十割でありながらのこの食感とこの喉越し。打ち手の技。新蕎麦はやはり心がうきうきします。
つゆにさっとつけ、一気に吸い込み。出汁が利いた濃いつゆが蕎麦を追って飛び込んできます。愉快な瞬間です。蕎麦は生き返り命を吹き込まれ、極上の蕎麦に変りました。
会津在来種。打ち方を変えて太さが0.2mmくらい違えてます。同じく丁度いい長さ。こちらも蕎麦の穀物の匂いが優しく、2種の蕎麦のその微妙な違いはmm単位の些少なもので、新蕎麦はすがすがしく、在来種はさすが甘みが増して、なんて分かったような分析はできません。でも違うんです。やっぱり違う。どう説明していいのかその力量がなくて申し訳ありませんが。こっちも軽やかなタッチと小気味のいい食感は極上のものです。ここまで来た甲斐があったと思います。
生ゆばのさしみ。清冽で食べるのがもったいない。日本酒と合わせればもったいなくない。温泉玉子。濃厚で食べるのがもったいない。ビールと合わせればもったいなくない。野山の天麩羅3種。甘長唐辛子。きのこ。かぼちゃ。もうひとつは、なんだろう。紫色で丸い。
蕎麦は十分満足でした。濃厚な蕎麦湯をいただき、満足の2階建て。蕎麦前もたのしそうなお店。この後は温泉が待ってます。
奥様に話しました。
きょうの天麩羅は、とうもろこしが出てくると思いました。
ああ、見てくださっているのですね。言っていただければお出しできましたのに。
また今度の楽しみにしておきますから、気にしないでください。
その後、厨房で忙しく調理中のご主人に声を掛けてお礼を申し上げました。このようなおいしいお蕎麦と温泉の組み合わせ。千葉県民でよかった。千葉県民でないあなたも是非おいでください。