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「2色盛り(常陸秋蕎麦+夏新蕎麦)(700円)」@和泉庵 わかやの写真1枚のせいろ蕎麦が食べたくて、100km先の銚子まで一直線。うわさに違わず素晴らしい1枚でした。

ずっと行きたかったお店です。自家製粉十割そばの和泉庵わかや。場所は千葉県銚子市の海の近くにあって、自宅からおよそ100km。外観は極普通の町の蕎麦屋さんですが、蕎麦好きのサークル内では有名な手打ち蕎麦店です。蕎麦好きでその上文章がきっちりと書ける方がこのお店のお蕎麦を語ると、どうしようもなく、直ちに食べたくなります。

そんなブログというかほとんどエッセイを目にしてから既に半年が経ってしまいましたが、この日、とうとう行けるチャンスが巡ってきました。自宅を出発、お店に着く、蕎麦をいただく、そのまま帰宅、ということなら十分行ける状況でした。菜美に相談すると片道2時間半。単純だなあ。100÷40じゃん。多分3時間くらいかかるとみて、開店時間の11時半に入れるように、少し早めに家を出ます。しかしどうしたことか、この日は車の通行量が異常に少なく、お店に着いたのが開店30分前でした。

定刻ピッタリに花番さんでしょうか、のれんを持ってお店から出てきました。挨拶をします。

お待たせして申し訳ありません。

いえいえ、ちょっと遠くから来たものですから時間調節ができなくて。

ここかあ。お店に口開けで入ります。本当に極普通の蕎麦屋さん。ホームページの情報では、店主は4店で修行後実家のそば店を自家製粉、手打ち、十割の店としてリニューアルしたとか。だからこうやってあこがれのお店に変身し、100km走っても食べたい蕎麦を提供するようになったのです。

テーブル席が3卓に小上がりが3卓。開店15分後には満席になりましたが、どうやら別に座敷があるようです。その後2組が別室に案内されてました。その後は、時間がかかると説明して時間差で出直すというくらいの繁盛振りです。

お店は入り口を入ってすぐ右手に製粉する石臼が置かれてます。そして正面には手打ちのコーナーが設けられていますね。この日ははなより大勢のお客さんが来ると読んでいたのか、あるいはいつものことなのか、手打ち場はうどんを打って切った後そのまま営業時間に突入したようで、後片付けもままならぬようでした。

さて、お品書きを拝見。これこれ、これが食べたかった。蕎麦の産地別食べ比べ。うああ。これ、土日限定なんですか。

富山県南砺市在来種 粗挽き十割
埼玉県入間郡北早生 細挽十割 (所謂、夏新)
茨城県桜川市常陸秋蕎麦 二八そば

富山の粗挽きは食べられませんが、夏新と常陸秋蕎麦の二八が2色盛りでいただける(700円)、ということなのでお願いしました。

実は、蕎麦会席を食べたかったのですが、これは二日前の予約が必要とのこと。ミニ会席は、
そば味噌きゅうり
出し巻き玉子
そばがき
十割もりそば
そば白玉ぜんざい
そば茶
で、手ごろな1500円。これも残念ながら夜だけとのこと。

それでは、合い盛りに天ぷらにしようと思いましたが、いつも同じなのでたまにはおつまみでも。出し巻き玉子は、土日だけだということで、

かえし漬けとぬか漬けの盛り合わせ(300円)
しらすおろし(300円)

をお願いしました。その直後からですね。お客さんがどんどん入り始めてあっという間に満席になったのは。いずれにしろ、土日か夜にもう一度来ないといけませんね。ちょっと事前に調べる量が少なかったことを反省。

漬物の盛り合わせが出されます。いやあ、うまそう。これはお酒、と言いたいですがそれは無理。アルコール0.00%ビールの小瓶があるというので、直ちにお願いします。しらすおろしも出されます。

自家のぬか床で作ったと言うぬか漬けがうまい。今年は頑張って自宅でも漬けていますが、両者の健闘を称えたい。ノンアルコールビール、でもうまい。かえし漬けは、そばつゆのかえしに漬け込んだものということですが、こいつも味わい深くていい。長いもがおいしかった。しらすおろしのしらすが大きい。このしらすは、飯岡産とのことでしたが、銚子の南西方向にあるすぐ近くの漁港です。だんこんがぴりりと辛く、このおろしもうまい。ノンアルコールの日本酒、作ってくれないかなあ。

そのあとサービスで、蕎麦味噌ときゅうり、しんしょうがが合わさった小皿が出されました。蕎麦が香ばしくてうまいね。

これはもう絶対蕎麦会席を食べるぞ、と固く心に誓っていたら、もりそばが登場。おおお美しい。

もう見ただけで興奮しています。これが合い盛り?どこからどこまで?と思っていたら、これは二八で、十割は別笊で後ほど出てくるとか。としたら、申し訳ないほどすごい分量です。常陸秋蕎麦の二八。

蕎麦は所謂エッジのきいたスパッと切り下ろされた角が清涼感を醸し出し。細かな星が点在しているのは、製粉過程で自然に入ったと思えるくらいの量に思えます。この蕎麦を手繰ってみると、もうそこで蕎麦独特の乾いた穀物の香りがふっと訪れます。ここが常陸秋蕎麦の長所ですね。食べてみてもその甘い蕎麦の味を包むような馥郁たるにおいが、俄然本領発揮して自分を酔わせます。

ちょろっとつゆをつけて。つゆはうまみの甘さが感じられる濃厚な仕上がりで、蕎麦を更に甘くおいしく感じさせます。噛み応えも実にいい。もうこの時点で、もう一度来る、を再確認していました。おいしい蕎麦にそれを支えるつゆ。この単純な組み合わせがこんなにも興奮させるのか。実に不思議です。あっという間にせいろは空になり。

頃合を見計らったかのように、タイミングよく、夏新そばの十割が供されます。新蕎麦は今年2枚目です。こちらは、足つきの竹笊に盛られての提供です。二八よりも更に細く打たれてます。こちらの蕎麦は二八が妖艶に着飾った花魁にたとえるなら、まだ店に着いたばかりのニューフェース。数年後の花魁を夢見るあどけさが残る素材。穀物の香りやや弱く清冽でありながら、店主の技量ですばらしい食感とのどごしを与えられた逸品です。これが新蕎麦の楽しみですね。

ここでもう1枚、粗挽き蕎麦がいただければパーフェクトと言ったところでしょうか。それを宿題にして、またここに戻ってくるエクスキューズに使いましょう。とってもいい時間を過ごすことができました。
お客さんがどんどん入ってくるので、この蕎麦湯をいただいたらお暇しましょう。と思いながら湯を注ぐと、これが濃厚に調整されたとろとろ蕎麦湯。いい蕎麦のかおり。出汁と合わせて、また興奮しちゃいます。申し訳ありませんが、これはゆっくりと味わいたい。

さ、精算しましょう。レジはお店の奥にあって、その奥は厨房です。店主はそのもうひとつ奥にいるようで、見えません。

お客様がお帰りです、と奥の方に向って声をかけます。

(姿は見えない。奥から大きな声で)今日は遠くから大変ありがとうございます。

(見えない店主に向って、大きな声で)とってもおいしかったです。また戻ってきます。ありがとうございました。

胃も心も満足でまた100km走りますか。何が起こるかわからないのが人生。途中でものすごいお店発見。これはスルーするわけにはいきません。立ち寄ります。続く。

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